リビルトターボ 他社製品検証と比較
高品質と称して、十分なオーバーホール作業が施されていない粗悪なリビルドターボチャージャーが多く出回っています。
これらの粗悪なリビルトターボを一般のユーザーが見極めることは難しく、代理店側も粗悪品とは知らずに販売しているケースさえあるようです。
1分間に数十万回転以上にも至るターボチャージャーは、非常にデリケートな精密機械であり、最も重要なファクターは、低速から超高速域までスムーズに回転することです。
ターボチャージャーをリビルトする場合、各部品の汚れ(スラッジ、錆、油汚れ等)を徹底的に洗浄除去し、面加工修正等を行ったうえでのバランス修正が必要不可欠となります。
バランス修正が十分に施されていないターボチャージャーや、精度が基準値を満たしていない部品を使用しているものは、軸が共振をおこし音鳴りや出力不足を起こしたり、最悪の場合、早期破損に至ります。
低価格で出回っているリビルトターボの品質検証
外観
全体的に、洗浄工程での作業の粗雑さが目立ちます。
ブラストにて錆を除去した後、ターボチャージャーハウジングは黒色塗装されており、塗りむらがかなり見られます。(参考1)
ハウジングのガスケット取付フランジ面は研磨されておらず、ガスケットの残留跡の修正もされていませんでした。
(参考2)
ボルト穴には錆の残留があり(参考3)、オイル出口、ボルト穴にガラスビースの残留も確認されました。(参考4)
ターボチャージャーをリビルトする際の第一段階(分解洗浄工程)において、汚れ(スラッジ、錆等)を除去することと同時に、洗浄時のショットブラストで吹き付ける材質が残留しないようにすることは大変に重要です。
ガラスビーズの残留は、致命的な不具合につながる可能性大です。
ターボチャージャーシャフト・コンプレッサーホイール
ターボチャージャーシャフトのホイール側に6/100mm、
ロッド側に4/100mmの曲がりがありました。(参考5)
これは、それぞれの当社製品基準値である2/1000mm以下と比べ、かなり大きな曲がりです。
ターボチャージャーシャフトの最も重要なジャーナル部には、ショットブラストが打たれており、研磨もされていない為、面の粗さが目立ちます。
(参考6)
バランス
VSRによる高速バランステスト時に、既に異音を確認。
ローターバランスは単体、VSRともに基準値を大きく超えていて、検査はされていないと言えます。
単体バランス
コンプレッサーホイールは基準値内でしたが、ターボチャージャーホイールは基準値を大きく外れていました。(参考7)
VSRバランス
高速回転でのバランス確認は行っていないと推測します。(参考8)
構成部品
ベアリングカードリッジは、スラッジ残留、ガラスビーズ付着(参考9)。
軽く洗浄したのみのように思われます。
ジャーナルベアリングは、旧品の再利用で洗浄は不充分であり既にカジリキズが見られました(参考10)。